主の公現

1月3日 主の公現

福音朗読箇所 マタイ 2・1-12

[説教]

 

 占星術の学者達が東方からイエスを礼拝するためにやって来るという主の公現の出来事の物語は、マタイによる福音書にだけ伝えられています。
 当時の占星術の学者達として考えられるのは、ペルシャやバビロニアの星占いや、夢占いをやっていた学者で、祭司を兼ねていた者です。しかし、使徒言行録13:6では、同じ言葉を魔術師の意味で使っています。
 マタイによる福音書は、占星術の学者達が東方からはるばるやって来たことを伝えることによって、イエスこそユダヤ人が待望していたメシアであり、しかも、ユダヤ人だけでなく、異邦人もその福音に招かれていることを強調しています。このメシアは、ユダヤ人指導者達によって拒否され、ユダヤ人のみならず、異邦人にも福音が伝えられるようになります。つまり、新しい神の民である教会には、ユダヤ人も異邦人も共に含まれています。そして、異邦人への宜教は、イエスの意図に基づいていることが示されています。
 マタイによる福音書は、ヘレニズム地域のユダヤ人キリスト者の教会で作られ、ユダヤ人への宜教と異邦人への宣教の対立を解消する意図があったものと考えられています。

 このようにしてみると、今日の福音の内容は、イエスの誕生がユダヤ人のためだけでなく、全ての人の救いに関わりを持っていることを伝えたかったに違いありません。

 イエスはごく限られた人々のためでなく、全ての人々のために生れたことを、この物語は私達に伝えています。私達もこの喜びの知らせを、自分達だけのものとしないで、多くの人々と分かち合っていきましょう。イエスの誕生はユダヤの地に限られていないのです。